●これでいいのか!?原型製作講座 発動編
◆発動編 : 胴体 〜ボディが甘ぇぜ!〜

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■胴体を削ろう(1)

(1) (2) (3)

(1)ポリパテが硬化したらコピー用紙を剥がしてみましょう。
するとコピー用紙に描かれたラフ画がポリパテに転写されています。
これを基にポリパテを削りだしていくわけですが、いきなり立体的に削る手法は慣れていないと形を見失う可能性が高いです。

(2)そこでラフを参考に、まずは前面から見た形状を削り出します。

(3)当然横から見ると背面部分はガタガタですが、これは次のステップで。

■胴体を削ろう(2)

(1) (2) (3) (4)

次に横から見たプロポーションを整えていくことにします。

ラフを転写した面は当然平面ですが、人間の身体は出てる部分と引っ込んでる部分があります。
この凹凸は少ないほうがいいという嗜好の人も時々いらっしゃる(私もその一人だったり)のですが、
それでも全く凹凸のないボディというのはド○えもんぐらいですので、
せめて引っ込んでるところは削ってやらなければなりません。

(1)さてそのような観点で胴体を横から見ると、
 出っ張ってる部分としてまず足が必要です。
 今回造っているキャラはつるぺたではないため胸もある程度必要ですので、
 ここにポリパテを盛り付けます。

(2)また、背中方向も肩甲骨やお尻、ふくらはぎが出っ張ってる部分になりますので、ここにもポリパテを盛ります。

(3)硬化したら今度は引っ込んでる部分を削っていきます。
 右図で矢印で指している部分が引っ込んでる部分となりますので、とりあえず削りこんでみましょう。
 多少は人間っぽくなってきたと思いませんか?(笑)

(4)そして削りこんだ部分を基準に出っ張ってる部分をなだらかに削っていきます。
 コツとしては削りこんだ部分同士をなだらかな線で繋ぐような感じですね。
 この段階では横から見た時だけのラインだけ問題なければOK。
 本当は膝頭や股間部にも凸凹はあるんですが、これは後のステップにて。
 何か上半身が丸みを帯びていますが、気にしないでください。
 撮影のタイミングを間違えただけですので(泣)

<コラム?> ポリパテのラクな削り方

さて、ここでちょっと小休止。

ポリパテが造形素材としては硬い部類に入るのは使ってる方にはご承知のとおり。
これを刃物で削る作業は非常に疲れる作業になります。
しかし削り方を少し変えるだけで、その疲れを一気に減少させることができます。
・・・と言っても、おそらくポリパテ派のみなさんは無意識にこれをやってると思いますので、
そんなエラそうに言えるものでもないんですけどね(笑)
でも「ポリパテは硬くて扱いづらい」と言ってる人にはもしかしたら役に立つかも・・・

まず図1の(1)から(3)までを見てください。
ある部品のグレー部分を上から削り取りたい場合、
(1)から(3)のように平らに削っていく方法がまず考えられます。
しかしこの方法だと、刃に接する面の幅が大きく、
その分、刃が受ける抵抗も大きく(つまり削るために力が必要に)なります。

しかし(4)から(6)の方法であれば、刃の接する面が小さいために抵抗も小さく、
ラクに削ることができます。
もちろん、削るに従って力は要るようになりますが、総合的には(1)から(3)よりも
小さな力で削る事が可能となります。

この例の場合は単純な四角形ですが、実際のパテの表面は凸凹が多くあります。
当然凸の部分は刃に当たる部分が小さく削りやすいので、
そういった箇所から削っていくのも良いかもしれません。

また、逆に刃の方を面に当たる部分を小さくする方法もあります。
アートナイフの替え刃として売られている「丸刃」を使用するのです。
この刃は文字通り、刃の部分が丸く湾曲しているもので、
丸刃の頂辺部分に力が集中するため、この部分は驚異的な削れ具合を見せてくれます。
その分消耗が激しいのが難点ですけど(笑)
私は専らこの刃を使っています。

ちなみに小刀は刃の大きさに比例して抵抗も大きいのですが
その分、刃に大きな力を加えれるので、大きく削る場合は
こっちの方が向いてるのかもしれませんね。
もちろんその場合も(4)から(6)の方式で削ってますよ。

■胴体を削ろう(3)

(1) (2)

さて少し小休止したところで(したのか?)、続きに行きましょう。

「胴体を削ろう(1)」と同(2)で正面から見た面と側面からみた面は形が出たわけですが、
これだとロボットのような四角い人体です。
逆に言えば、身体の各所にできている角さえ落とせば、人体っぽくなるということです
(↑乱暴な言い方だな、オイ)。

(1)というわけで角を落としていくわけですが、 別に難しいことではありません。
 角を削ることによって新しい面を作り、その面の角を落とす事でさらに面を作り・・・
 の要領で面と面の角度をどんどん鈍くしていくのです。
 多少荒くてもOK。どうせあとでヤスリで面をならします。

(2)というわけで具体的な削る順序。
 まぁ、こんなの写真入りで説明するほどでもないんですが(笑)
 ポリゴンも原理的には同じなんで3DCGやってる人には違和感ないかもしれませんね。

(3)(4)(5)
 全身の角を落としてみました。
 正確には脚の内側は刃が入りにくいので処理してませんが
 比較的ラインが単純な脚はかなりそれっぽくなってきてるのが分かると思います。
 胴体はラインが複雑なんで、これだけだと全然ですが(泣)

(3) (4) (5)

ここから先は作業性を考えて片脚だけ切り離して進めます。
脚の内側や股間部はどうしても刃が入らないですからねぇ。
と言うわけで、脚に関しては→蠢動編 : 脚〜偉い人には解らんのです〜を参照ってことで。
また、以下からは胴体の肉体的表現について書いていくつもりですので、服を着せる予定の方はあんまり関係ないかと思います。
服の表現については→盲動編 : シワ 〜白いセーラーカラーは翻さないように〜(現在準備中)を参照してください。

■肉体表現を施そう(1)

さて、大まかに形が出たところで肉体表現を施していきます。
と言っても、先ほどまで参考にしていたのはあくまでバランスを見るためのラフ絵ですので、肉体表現を施すところまでは考慮していません。
そこで、胴体の肉の付き方に絞って肉体表現を考えてみましょう。

@はいわゆる骨と皮だけの状態。 脂肪どころか必要な筋肉もほとんど付いてない状態です。
まさかこの状態を立体化する人はいないと思いますが、骨格と筋肉の位置関係を把握する上では結構重要な状態とも居えます。

Aは脂肪がほとんどない「やせっぽち」状態です。
かなり女性らしくはなっていますが、お腹とあばらの間には明確な段差があり、胸の下にはうっすらとあばら骨が浮いています。
腰周りも骨盤の前部とお腹にも段差が目立ち、骨盤前部が浮き出たりする他、
ウエストから太腿へのラインの途中に腰骨が浮き出していたりと、全体的に骨ばっています。
また、太腿の肉付きの不足から脚をぴったり閉じようとしても、脚と脚の間に隙間が空いてしまいます。
小学生高学年〜中学生ぐらいの第二次性長期の女の子に多く見られる体格です。

Bでようやく平均的なアニメキャラの体格になります。
これでも実際の女性と比べると十分スマートなんですが、アニメキャラとしてはこのあとは胸と腰周りが大きくなるだけで
これよりゴツくなることは稀でしょう。
Aでくっきりしていたお腹とあばらの段差や骨盤前部の浮き出しも薄いものになり、ウエストから太腿へのラインも滑らかになります。
脚の間の隙間もわずかに残りますが太腿はぴったりと合わせることができるようになります。
現実では中学生〜高校生ぐらいの体格ですが、多くのアニメ系キャラがここに分類できるので、スタンダードな体格と言えるでしょう。

肉体表現をどこまで行なうかは作品のカラーにもよりますが、お腹とあばらのラインや骨盤前部のラインはうっすらと施すことが多いようです。
痩せ気味のキャラであればあばらや腰骨の浮き出しを表現しますが、やりすぎると骨ばって見えるのでアニメキャラではあまり見られませんね。

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